光の壺/まーつん
私たちの身体を、何に喩えようか
それは、壺のようなものだ
そして私たちの心は、そこに収められた光
神は陶工となって、今日も壺つくりに精を出す
午後の陽射しが差し込む、埃っぽい作業場の一角で
土を練り
火にかけて
薪をくべ
風にさらして
陶工は壁棚に我々を並べる
ひとつひとつ、丁寧に
そして、かさかさに荒れた職人の指先で
星の海から掬い上げてきた光の砂を
一つまみずつ入れていく
それはやがて、愛や憎しみとなって、
輝きを増していく
それが、我々の心
ほの暗い漆喰の壁に、ぼんやりと照り映える、黄金色の光
古いエプロンの胸元で、神は手の汗をぬぐう
人の肉体は陶土で、その心は光
運命という名の船に積み込まれ、
時の河を運ばれていく
光の壺
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