葡萄鼠の月/
ルナク
霧が低く立ち込めている
地平に連なる街並みの輪郭線を
淡い紫が滲ませるように覆っている
その帯状の霧のすぐ上に
なだめるように添うように
葡萄鼠の月が出ている
こころも身体も疲れきっているのに
妙に頭だけがさえて眠れない
葡萄鼠の月
街を抱くような十六夜の月を見つめていたら
遠く暮らす 老いた母を
なぜか ふいに思い出した
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