続・田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 




言葉のない世界を発見するのだ 言葉をつかって
真昼の球体を 正午の詩を
おれは垂直的人間
おれは水平的人間にとどまるわけにはいかない

 「垂直的人間」とは何でしょうか。あるいはそれと対比されている「水平的人間」とは。これも擬思想、つまりまがい物の思想であり、多様な解釈を許すと思います。ですが、「垂直的人間」というとき、その「人間」は第一次的には「詩人」であると思います。だから、田村は第一次的には「垂直的詩人」であったわけです。あるいは、「垂直的人間」とは第一次的には「詩人」のことを指していたと考えることも可能です。そうすると、田村の作品の中から垂直性を読み取るのが無
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