生き物たちの墓場/瀬崎 虎彦
逃走と讃美 内側から崩壊する冷泉
機微に触れる没食子 裸体から剥離する
望遠レンズ 深夜にまたたいて
また崩壊する源泉 闘争と酸鼻
図像より言葉で あるいは象徴よりイメージで
その長い闘争が終わる気配のすこし手前に
古い銀細工のスプーンを持って
テーブルで食事を待っている おさなご
震える指先に誰かの声を屠る(だれ?)
今以上に形態が呪わしいと感じたことはない
夜は夜以前から真空に満ちて沈黙した
海原は日光の下で見れば美しいが
闇の中で、触覚と聴覚だけに頼れば
不気味この上ない 生き物たちの墓場(揺りかご)
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