『肌色の修正液』/東雲 李葉
 
て。
顔も身体も着せ替えたいよ。マネキンのポーズ真似てみたけど。
なりたいと思うからなれないんだ。
憧れちゃったら遠ざかっちゃうんだ。
コンタクトを入れる痛みはまだ怖い。
泣けば泣くほど不細工になっちゃうね。
修正液でもごまかしきれない私という個性的な振りした個性。


肌色の修正液で曝したいの隠したいの。
君を隠す服も私にしかなれない私も。
至らない思春期ごと違ったものにしたいの。肌色で肌色で。
個性の足りないマネキンになるの。
好き勝手に好きでもない服を着せてもらうの。
笑った顔をあなたにあなたに描きたいの描かれたいの。
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