『肌色の修正液』/東雲 李葉
肌色の修正液があったなら君の写真に塗りたくるだろう。
思春期を迎えに来てるぽっかり開いた大人への入口。
制服の上でしか知らない君の身体を想像しながら創造するのさ。
知らないでくれよこんな痴態を。知ってほしいよ浮ついた恋心を。
触れたいくせに触れられない。
知らないくせに捌きたい。
痛み始めた喉じゃかすれるだけの君の名前。
呼べば呼ぶほど悪いところに熱が溜まって。
修正液でも直せない汚れが広がる広がる広がる。
肌色の修正液があったなら私の写真を塗り潰すだろう。
倦怠期を貪りきったよ。私はもう私にほとほと愛想が尽きた。
制服着てる私も着てない私も潰して潰して私をなくして。
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