急襲と吸収/
灘 修二
休日で賑わう雑踏を彷徨していると
あいつは俺の心臓を奪って
逃走した
俺は追いかけた
だが
心臓のないわたしは
三歩と進めず倒れた
散歩の人に
追いかけてくれと
頼んだが
心臓がないので
声も出ず
向こうの角で
振り返って
にやりと笑うあいつを
見ているだけ
くやしさが
つきぬけた
空色を
見て
胸を空っぽにして
死んだ
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