首都高/AquArium
ああ
星空が好きな君と
夜景が好きなあなたの
狭間で
同じ色の空を見ようなんて
そんなうまい話は
転がってはいない
のに
嘘だらけの夏の夜は
蒸し暑さと涼しさが
一緒くたにあたしを包んで
肌に確かな呼吸さえ、
許してはくれない
くらい
非常識な空間が
2年半前の冬を
連れてきている
変わらないことが
いいことなのか
悪いことなのか
なにも
動かないまま
あなたはバックミラーに
目を
見遣った
「もうすぐ東京タワーが見えるよ」
得意げで
時速80kmで流れる光が
やけに眩しい
遠くなる、
世界
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)