都市の予告/takano
 
抱いて声高にさけびはじめる)

この都市に遅すぎた死亡宣告をしたあとで 

土俗的な自然の祝詞を 吃音のようではなく 念仏のごとく 声帯の奥からおくりだすことこそ然るべき霧も霧消し 自己の混濁したあやうい心域にふみこめよう


腐乱した鼠や仔猫のぬいぐるみがふわふわうきしずんでいる地下道では 排水溝にへばりついた水藻が黒光りし 侵入者を阻止している

それは未来をしりぞけ そこだけ時間がとまり 廃水として過去への眼差しが 悔恨や堆積した不条理の感情を赦し 透析することで昇華される情動のやすらぎを保障しているかのように


都市は湯だちはじめる 日の出とともに 蒸気や粉塵とと
[次のページ]
戻る   Point(1)