虚飾拾遺集/石原大介
 

サンダルの散らかり過ぎた滑走路 紙ヒコーキの泳ぐ地下鉄

この街に照準のような雪が降る 国道のはて 君の空より

ダイダロス=秋の夜長にこんがらがったる作業ラインの十二指腸である

しっとりとえび満月が屋上で膝をかかえて病んでいました

猪口才な! 周回後れのネズミの尻尾にまるいくしゃみのとまらない夢

作業着のつわものどもが檻のなか ハーフミラーで巡る街かど

五十円玉の虚空の砂嵐 裏にはためく緋色の絹布

嵐の夜 波提の縁に回春の下駄をくわえて踊る先生

エレファント・ストーンの寺 嘶きて 満ちたる帆なり肩越しの空

沼底に握り締めたるいちもつの うたう異界よ 錆びたあぶくよ






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