夏冷え/サトウチカ
 
静けさと口がさみしくて
少しかじったリップクリーム
溶け出して滲む真夏日の視界に
飲み込めない青さを吐きだした



「何とかやっているから」
なんて



見えない嘘なら笑ってもらえる
そう思っていたんだ
君に借りた勇気や強さは一つも返せず
部屋の隅でほこりをかぶったまま



言えない言葉の底で凍る心
リップクリームは熱と消えたけど

僕の喉もカラカラなのにどうして、
真っ赤な
真っ赤な
真っ赤な あいがほしいよ
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