滲むということ 有るということ 無いということ/青土よし
#無い
ぼやぼやと、ぼやぼやと、あたまの中が、だんだん、無、にちかづいていくのを、感じる……。
この部屋で私は一人なのだ。それはどこに居るときでも言えることだ。どうして同じ形の指輪を嵌めているのだろう。あいつはいったい誰なのだろう、私の目の前で微笑んでいるあいつは?一年くらい前からそこに居る。よく見かける。あいつ、あいつは、違う顔をした自分だろうか。
ここはどこで、どこに繋がっているのか。私は誰で、誰と繋がっているのか(原初的な問い)。あらゆる命題と論証は、われわれを死へと近付けさせるものでしか無い。誰かの生と関わるということは、少なからず誰かに死を与えているということだ。毎晩訪れる夢よりも無害な死を。
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