樹々へのコラージュ/草野春心
{引用=(煙突)
獣たちの
輝いていた瞳は
もう、眼窩にひそみ
昼の祝祭は
夜の灰となり
細い導管を
遡る
(車)
わたしは
何も考えることなくここに居ればよかった。
何ひとつ携えることなくここに辿りつけばそれ
でよかった。壁は遠く、仄かに白い。声を発す
るのはただ光だけで、名もなき昆虫たちは茂み
のなかで、我々の細部を食む。
わたしは、
何も考えることなくここに居ればよかった。
点を線へと変え、或いは線を点へ還し、穏やか
なモンスーンが柔毛を撫でて
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