「もう少しそのままで」/ベンジャミン
ならずしも善でなく
失うことがかならずしも悪ではない
そんなことにも気づいた頃
まだ何も知らなかったときの自分が
とても懐かしく思えた
※
無邪気に微笑んで
無心に何かを追いかけて
息がきれそうなくらいかけまわっていた
何が正しくて何が間違いで
失敗や成功をただそのままに受け止めて
泣いたり笑ったりしていた
ただそのままをただそのままに
ただそれだけのことで埋めつくされた
ただそれだけの日々がただそれだけでなく
どれだけ心を軽くしていたかなんて
まったく気づかないまま
そんな頃を思い返していた
そんな頃があったことが遥か遠くに思えて
もう少しそのまま
遥か遠くの自分を
もう少しそのまま
懐かしさの中で近くに感じていたかった
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