夏の夜/ホロウ・シカエルボク
歩道の縁石に
繭のように座り込んで
きみは
つぎの言葉を待っていた
つぎの言葉など
もう
ないというのに
プラチナブロンドの
髪に
ピースマークの
髪留め
薄いメイクに
薄いブルーの
少女のようなサマードレス
雨上がりなんだから
そんなところに腰かけちゃ駄目だよ
雨上がりなんだから
すてきな服が汚れてしまうよ
大事なことの
はずなのに
ぼくは
そう
言えなくて
帰るべきなんだと思った
ここで
さよならと言って
ぼくの
帰るべきところへ
ほんとうの
帰る
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