朝の珈琲 /服部 剛
 
人もまばらな朝のカフェで珈琲を啜りつつ 
息子が生まれた一年前、医師に診せられた 
「一本多い染色体」の写真と 
大粒な、妻の涙が甦る 

昨日の夕餉の食卓で、僕等三人は 
幸せそうに笑う「一枚の絵」になっていた 

(願わくば、人の心の哀しみに 
 あらたなる日が射しますように――) 

珈琲を啜り終えた僕は 
お風呂セットの袋を手に、腰を上げ 
カフェの外の駐車場へ歩いた 







戻る   Point(3)