スピードメーターとメトロノーム/藤鈴呼
 
幾つモノもみの木が生える季節だから
橇と書くの

牽くのはトナカイなんだけど
何故か木の幹と色は一緒なの

載るのはサンタなんだけど
ヒゲがジャマすぎてカオが見えないから

笑っているのか泣いているのか
怒ってるのかが 分かんない

ただ アタシの代わりに 空が泣いたから
唇 噛み締めて 歩けるような 気がした

同情されても それは アタシじゃないし
微妙な気分で歩く キラキラ通り

幾つモノ店を歩くと ニベもなく
タライ回ることもなく 能面の微笑み

それでも 知ってるの
断りが 最上の 思いやりだと

期待 持たせるのが 悪いから
気体と化し
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