雨読物語/
ただのみきや
読みつかれて ふと
雨音に包まれて
物思いに耽る蛙と
草むらに潜む
文庫の中は
土砂降りの文字
連なり意味成し物語り
意識下に滲み濾過されて
何を読みたいわけでもなく
ただ
文字の雨に打たれていたい
頁の数は蝸牛
心には別の本があるようで
どこからか円い水が湧いてくる
窓を開けて
斜線入りの景色に手を伸ばす
そんな日も
あって良い
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