心臓の鉛/
永乃ゆち
忘れられた歌
幼い日の
遠い記憶と
優しい嘘
軽い眩暈と
心臓の鉛
どこまで潜ってゆくの
どこまで走ってゆくの
世界は等しく朝を迎えるけれど
生き物は平等なんかじゃない
忘れられた歌
紡いで響かせる
幼い日の
鮮明な記憶と
真実に覚える痛み
軽い眩暈は
もうずっと以前から
心臓の鉛は
溶け出すこともなく
重く
重く
重く
土砂降りの中
傘もささずに踊っていたい
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