四月/
乱太郎
四月
空に舞う
傲慢なのかもしれない
あなたは僕を遠ざけて近づくことはない
風を伝って
光りを浴びせて
もう巡り合うことのないその瞬間々々
想うことでしか触れられない
あなたは
ただ僕に微笑む
それはいつくしみなのか
憧れが決して火傷にならないように
それとも
真実が僕たちを切り離さないように
*
六月
五感に塩漬けされた記憶の味が
酸っぱくなっていくようだ
母は既に亡くなり
カビの生えた世間知らずの正義と理想を
六月の空は紐で繋いで晒し者にする
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