少年の郷愁/吉岡ペペロ
 
想い出は夏の汗とともに気化してゆく

ひやされて秋の透明なひかりになる

わたしはひとまず泣いていた

少年の郷愁が空を翔けてゆく

存在の影にだけ風が吹いている


空虚なくらい水色の青空だった

あたためられて熱されて

海のむこうの白い塊が連なりが

地上で起こるべき

なにかのデモ行進のようだった


想い出は夏の汗とともに気化してゆく

ひやされて秋の透明なひかりになる

わたしはひとまず泣いていた

少年の郷愁が空を翔けてゆく

存在の影にだけ風が吹いている







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