雷光 Part2/風呂奴
空はうるさく、
紅茶は、すっかり生温くなっていた
じっとりとした沈黙が、
部屋中に散布されてから、
物語を見守るふたつの眼が
ゆっくり剥ぎ取られて
くり返しうつ寝返りの音
汗ばんだ背中が
怠い台詞を
無言のまま吐き続けている
このようにして、7月の風が
ベッドを背中に吸い付けていると
母親の声が
木曜の朝をついに揺すり出す、
起床、
夢日記には
ついに空白が、
現実逃避には
ありあまる活字が、
起動させたラックトップ、
ディスプレイが立ち上がると
「世界」の車窓を見た気がして
さて、
この世界の乗車券は、
いつ発行されたのだろうかと、
生温い紅茶を口に含んで、
部屋をあとにする、
空はやかましく、
腹が下るように、
グルグルと空が鳴く
雷のように、地上に落ちた
「わたし」、を名乗る者、
そんなことを想っていると、
流しの皿は2枚も割れた、
鋭い音は、
落雷のせいにした
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