山の麓も海の日で/風呂奴
 
蝉の音が、君に夜明けを告げる
ぬるい麦茶を一口だけ飲む
連日降り続いた雨が
大気に馴染んで、
呑気に夢も見させてくれない
じりじり揺れる、夏の日だ

寝起きの君は
ふらふらと窓辺へ歩き
明星から天井へ
視線を遊ばせる
昨夜のリキュールと
友達の洒落に
脈拍をあげた次の朝
野原から林まで
小さな喉が
草木を揺らしている

はしゃいだ足跡を
漣が舐めとることもない 海の日
崩れた山肌に、
遠い目を傾けながら
ビーチの話をしている、
酔いの二日目
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