shasou-斜想/Neutral
 

今あの場所にどれくらい残っているんだろう
大家さんが登記だか何だかを書き間違えた事が理由で
アパートの名前がたった一文字だけど、変わってしまった事を今も憶えている私
そんな私は
きっと世界で誰も知らないことを知っている貴重な人物に思えて仕方がない

好奇心が全ての原動力だった頃
歩いて十分足らずの通学路すら長い旅路に思えるほどだった
近所の家の庭、標識、ゴミ捨て場に捨てられた雑誌や人形
何を見ても恋心を抱いていたね

子供時代の愛しい感情を思い起こすうちに
幼い頃に誰もが感じる、心の闇に塗りつぶされ
雑音で頭の中が溢れ返る
平和な景色のはずなのに、私にしか関係ない事な
[次のページ]
戻る   Point(4)