アスファルトの向こう側/まーつん
 
少年は飛んで行った
アスファルトの空に向かって
自由が欲しかった この世は生ける監獄

少年が泣き叫んだ時
世界は耳をふさいだ 目を閉ざした
口をつぐんだ そして今
彼が手の届かないところへ去った今

世界中が語りだした 聞くことについて
見ることについて 話すことについて

少年は笑っている 朗らかに笑っている その声が
議論の沸騰する 鍋の底から見上げる
蓋のあいた 青空に溶けて

誰も知らない
殺してはいけない理由を

誰も知らない
人が生きる訳を

誰も知らない 誰ひとり

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