風の通り道/
吉岡ペペロ
ビルの入口は吹きさらしだった
そこは風の通り道みたいになっていて
息できなくなるくらいの強い風が吹いていた
お弁当を食べたとき
だれにも食べさせたくなくなった
こんなおいしいものに
涙をながすのはぼくだけなんだと
傘はたたまなければ壊れてしまいそうだった
倒されないように立っていると
いつもより姿勢よく立てていた
ぼくのからだは弱っていた
だからいつもよりよけい
風がぼくを支えてくれていることが分かった
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