小さき者のウタ/
岸かの子
幾重にも纏わりつくビニル袋が
この生命も
この儚き光にも
二酸化炭素を含めという
カラカラ渇いたこの時代には
辻褄合わせの契りが似合う
一夜の夢を見させておくれ
赤い月も笑っていたあの夜は
誰もあなたを責めはしないのに
砕け散った硝子の破片を
雨の如く散らばせて
金糸と銀糸に振り分けよう
硝子の破片は跡形もなく
夢の中へ
儚き内なる方へ
光り無き
二酸化炭素の渦の中へ
駆けてゆくしか道はない
カタワレヲ ナクシタ
アハレナル カケラヨ
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