貧しき想い出/吉岡ペペロ
 
森を見つめていると宇宙に見えてくる

宇宙を見つめているとそれが湖に見えてくる

そして湖を見つめていると

やっぱりそれは緑の木々に見えてくる

そんなところからこの詩ははじまる


あの頃ぼくは貧しかった

ほかに比べるものがなくても

はっきり暮らしの貧しさは分かるのだった

分け合うとすぐなくなるくらいの料理を

おいしいおいしい言いながら食べていた

母は胸を張っていた

ぼくはじゃがいもが大好きだとなんども言った

妹はぼくとおなじくらいの量を食べていた

食べながらぼくや母に笑い声をくれていた


森を見つめていると宇宙に見えてくる

宇宙を見つめているとそれが湖に見えてくる

そして湖を見つめていると

やっぱりそれは緑の木々に見えてくる

そんなところからこの詩ははじまる





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