お天道様の呼び声/まーつん
 
みたいに群れ動く 薄灰色のマダラを描く

原稿用紙に綴られた 青いインクの明朝体が
一匹いっぴき立ち上がり 甲高いときの声を上げ
けたたましく笑いころげながら 畳の上を走り出す

゛遊ぼうよ 遊ぼうよ
 僕らを表に連れてって
 お前の頭は窮屈だ
 僕らを表で 遊ばせて゛

書生は部屋から飛び出して 寮の廊下を走り出す
開け放たれた戸口から 文字と文具があとを追う
笑いながら 囃しながら 若い男のあとを追う

゛いいぞ詩を詠む 若人よ
 世を儚むのは はやすぎる
 お天道様が呼ぶ声が お前の耳にも聞こえたかい?

 お天道様の呼び声が お前の耳にも届いたかい? ゛


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