言葉を心のカメラにして/邦秋
 
東京から夜空の帰り道

視界からは動かない翼を眺めると
その周りに、その時間には似合わない明るい雲が見えた

不思議だな、と思いながら狭い窓から覗くと
無言で輝く真っ白な満月

今日は厚い雲の絨毯が敷いてあるから
きっと地上の人には見えないんだろうな、
そんなことを思いながら
独り占めの月をさらに思い出に刻もうとカメラを手にした

しかし、機内の光が写る、カメラが反射する、
窓が邪魔してうまくいかない


そうして諦めた僕は、その景色を思い出せるよう
こうして言葉を綴ることにした

もう二度と同じ空を見ることはない

でも、この言葉を読み返せば、色も光も思い出せるはずだ
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