夜めぐる夜 ?/木立 悟
冬のあぶく冬の蒼
橋を洗い水を洗い
よどむ流れの背をつまみ
波を姿に押しもどす
膝の上
水の爪
氷そそぐ水
灯の下の無音
そこに封じようとするこころみ
そこから出ようとするこころみ
逆まく
風の毛なみ
誰も住んでいない街の道は
空に洗われ 綺麗に静かで
よごれた窓だけが
話しつづけている
水の底にしか現れない花
目と星と海を結び
編んでも編んでもとらえられない
火の貝殻のつぶやくうた
喉にいくつ花を落としても
言わないひとは何も言わない
見たこともない服を着て
誰のものでもない笑みをうかべる
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