夜めぐる夜 ?/木立 悟
門の前に置いて去り
咬もうと身構える七の道
海へ灯へ 海へ灯へ分かれ
雨のあとに残される国
白と黒と灰 むらさき摘む風
笑みは水にあふれ出る
そこには失い船を追い
片目のために
片目の空を打ち寄せる
曇わたる橋
蒼ばかり過ぎ
何処にもゆかず
何処へでもゆく
空の水はぎざぎざ遠のき
まだ少し背をまたたかせている
知らぬ間にころがる細い筆
水のかけらと呼び合うもの
橋からこぼれる光たち
袋の集まりのような暗い水
海がひとつではないことを
知ってか知らずか笑みまたたいている
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