使えないもの/佐々宝砂
 

心配はご無用
私はとほうもなく苛々しているだけのことで
叫ぶこともできるし
泣くことだってできる
私は孤独ではないし
それほどひどい目にあったわけでもない
つまりそういう問題ではないのだ

使わない のではなく
使えない のだと
悟るまでにはいくらか時間がかかったが
それはちゃんと私の手の中にあり
私の自由にもなる
それでも使えないものは使えない

ぎらぎらと陽光を反射しながら
それは私を苛立たせる
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