家路/伊月りさ
と思ったからだ。地下鉄に繋がる長い長いエスカレーターを降りる。初めて水たまりに潜った日と違うのは、わたしが自分で切符を購ったのだということ。わたしが選んだ駅。乗る。降りる。ぜんぶ、好きにしていいよと言うのは決まって禁忌の提示でした。知ったのは、目のおかげというより頭のおかげです。わたしはわたしのつむじまでよく理解できる頭をもったわたしを、やっと五人くらいは重ねて歩けるようになりました。適当な時期。世界を押し潰したい、押し潰されたい、という欲望があるうちに旅をしよう。
皮を剥がそう。
骨を折るのだ。
故郷の入り口が
鎖されることもある
カフェーカーテンのように無防備な
スカート
な
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