空っぽの手のひら/ただのみきや
 
が差し伸ばされ
強い力で引き揚げられた


明るい陽射しの下
気がつけば一人きり 座っていた
いつのまにか手は開かれていた
あの時夢中で誰かの手をつかんだから
空っぽの手のひら
いったい何を握りしめていたのだろう
気がつけば
もうそれほど若くはなかった


目を上げると大地は広々と開け
原野は風にうねり波打っていた
行く先の知れない一本の細い道を
先へと進んでみることにした
日の昇る方へ

空っぽの手のひらで
風が小さく渦を巻いた


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