リズミカルなあの子/もっぷ
さよならが
遠いころ知っていた子守唄は
ほがらかにリズミカルだった
時刻も狂わずにいつも傍らにいて
毎日の手入れも不要だし
挨拶は君から
だったね、と
なんでかな子守唄に
こんな歳になってしまってから
話しかけてみた、今朝
いつか忘れて満員電車に揺られていたら
聴こえてきたの
リズミカルなあの子
捜そうにも周りには
顔、顔、顔、ぎゅう詰めに顔
困ってしまって泣きそうになったけど
おとなだから我慢した
その日
さよならは
あって
いつか傍らにあの子
お行儀よく膝を合わせて
歌いたそうだったから止めなかったら
歌わない
君、天邪鬼だね
わたしはとっても聴きたかったから
こころのなかでそっ
と、抓るように言ってみた
さよならはどうしたってやまずに夜の帳が
あ
リズミカルなあの子がいま
発った
わたしにはそれがわかった
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