「散歩」/ベンジャミン
 
踏み出すのは一歩
その前に越えなければいけない
いくつかの壁があって
その一歩が遠いねと
君は言った

僕はその意味がわかったようで
わかっていないようで
ただ
遠近感の違いみたいなものを
ふと思い浮かべた

近くのものをずっと見ていると
遠くの景色のピントがずれて
ちょうどそんなふうな
心が錯覚する

外の空気と内の空気は少し違う
匂いとかじゃなくて
身体の中に入ってくるときの
たぶん広がり方なのだと思う

君が
散歩に行こうと言った
僕はまず一歩のことばかり考えて
それが少し息苦しい

今を呼吸することで精一杯なんだ
きっと
君と僕の歩
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