いつか世界の窓が開かれると/ただのみきや
窓を開け放ち
空気を入れかえる
朝の訪れを遮ってだらりと垂れ下がる
色褪せた思想を派手に揺らし
この胸を蝕み患わせている
積もりに積もった誇りや死っけを吹き飛ばし
若々しい風ははしゃぎ回る
わたしたちは食卓を囲む
そして互いの最上を与え合う
もう 看板に芸術と書いただけのスーパーマーケットから
賞味期限切れのゲテモノを買って来る必要はない
もう こきおろ詩やこけおど詩で睨み合う必用もない
わたしたちは互いの泉の波紋を聞き
自らの不足をも忘れて相手のために汲むことを惜しまない
いつか世界の窓が開かれると
空気はすっかり入れかわってしまうのだ
誰もが新しい子どもとなる
いつの日にか
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