没個性的な幻想たち/青土よし
 
鋼色の花が咲く
上も下も砂で覆い尽くされ
緑色のうめき声が
下腹部に響き渡る
それはちょうど
ベートーヴェンの第九のメロディと酷似していて
私はその暴力的な歓びに満たされる

右手を失っても
左手を失っても
果たされなかった青春の影が
いつまでも死にかけの少年の夢にもぐりこんで
夜を跡形も無く破壊する
静寂の内に
無音のドリル音
(これが全てを破壊した)

夜明け前の真っ暗闇の中
静かにカーテンを開くといい
白い清潔なパジャマを着た
何百、何千、あるいはもっと多くの少年たちが
次々と窓から飛び降りる姿を
君は目撃するだろう
彼らはみな一様に
その未発達な両手で
耳を塞いでいる
何か途轍も無く途方も無い轟音から
逃れようとしているかの如く
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