夏の中で/yamadahifumi
 
だという実感はある

僕の中で本当の夏の記憶は
あの川面の光や
少女のワンピースの翻りや
僕自身の入道雲の中でのまどろみ
ということにはならないのだろうか?

僕は今や大人になって
もはや文句を言えない立場になっている
職場の人達は僕が詩を書いているのだと知れば おそらく
盛大に笑い出すだろう
それでも彼らもまた仕事が終わると おそらくは
悲しげな瞳をしてテレビでもぼうっと眺めているに違いない
と、そこに僕の詩が入る余地があるのだ

僕の中で繰り返す夏の思い出は
世界の動向に微動だにしない wwwという奴だ
それでも僕はまた一夏を生き
そして少しは成長するだろう

そして世界は平たく終焉を迎える前に
ほんの少しだけ、僕に微笑みかけてくれる
その時だけ、僕の中の夏は光り出し
一瞬間だけ世界を覆う

その時、君は入道雲を見つめて
そこに変わらない僕の姿を確認するだろう
そして君は きっと僕が夢の中で見た
純白のワンピースを着ているのだろう
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