スティル・ライフ/ホロウ・シカエルボク
 



だれかがおれを殺そうとするから
おれは必死でそっちのほうへ鉈を振り下ろす
血しぶきを上げてたおれる顔は
おれの知ってる顔であったりなかったりする
表通りで悲鳴が聞こえたことを知っているか?
ゆうべの三時ごろのことだよ
だけどそれはおれの仕業じゃない
だれがなにをやったのかわからない
おれの仕業じゃない
おれはたとえば霧のような感覚のなかで
必死でおれを殺そうとするやつらに鉈を振り下ろす
それは三年ほどまえに道ですれ違っただけのやつだったりするときもある
おれは血しぶきを浴びて
なにかが浄化するのを感じるのだ
それをどんなふうにたと
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