透明な初乳/
和田カマリ
薄い雲に覆われ
目視できる
ギリギリの明るさで
太陽が唸っている
目を閉じると
破裂した光の飴玉が
痛みなく脳髄に
突き刺さってくる
その色は最初
透明な初乳のようで
やがて滲み出して
黄色く変化した
それは懐かしい
ふるさとの駅で
日本人に盗まれた
僕の自転車の色
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