田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
す。また、田村はお酒が好きで、お金を借りても返さない人だったようです。生島治郎によると、田村は、早川書房の編集長をやっているときでも、いつも酒気を帯びて出勤し、ただ編集室の奥の三畳間で横になっていたばかりだったそうです。「おい、そんなに仕事をしすぎるとオテント様のバチが当たるぜェ」などと言っていたそうです。(「酔っ払い編集長〜田村隆一氏のユーモア」より)。つまり、田村は社会に対する責任意識というのが薄かったのです。その責任意識の薄さが、詩にも反映されていて、熟考しない思想、体系のない思想、不明確な思想、というものを可能にしたのだと思います。責任意識が強ければ、思想を語る以上擬思想であってはならず、本当に論理性や整合性を持つ明確な思想を語らなければと思いがちだと思います。
 とりあえず第一冊目はここまで。ぜひ現代詩文庫『田村隆一詩集』を手にとってお読みになることをお勧めします。

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