密やかに蛾は待ち続け/アラガイs
 
この街に足を止める場所なんて、本気で探せば見つかるものよ
折れ曲がる細い路地を抜ければ川下には幾つもの橋が架かり
沿いの広場で遊ぶ子供たちと若い母親が、日暮れとともに帰ってゆく
それをじっと眺めては明日を考えるのが好き
引きずらない、出会いが好き
信号機が赤に変わり
すばやくホテルから出て行った車
自動販売機で冷たいお茶を買う
いつものように携帯から呼び出しのメールが鳴る
生の声って身体が覚えているから嫌いだ
外の景色も見なれてくると、小難しい小説だって読めるようになるわ

ビルとビルの隙間
騒音に焼かれ、熱い風が引き込まれ、巻き返し
、狂いそう、髪は汗に
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