会いたい/もっぷ
骨になったあなたに
灰になったあなたに
星になったあなたに
風になったあなたに
会える墓標はどこにもない
いつわりだけが木霊する
空ろな小屋が
今夜はどんなふうに
またいつわりの夢をみて
いるのだろう
さよなら
したのはあなたにではなく
信じられない寺に宛て
確かにこの目の前でみた
ほんの一握りのお骨分け
残りのあなたはいまどこに
きりがないほど考える
大陸へ渡り漢方か
その、疑惑が絶え間なく
絶え間なく
わたしを襲うから
眠れないんです
と言い訳し
俵万智の歌集を読んでいる
「かぜのてのひら」
風のてのひら
あなたはいま風となって
窓をたたいているのではと
耳を澄ませてみるけれど
きょうに限って静かなゆうべ
会いたい、
会いたい。
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