リリー/かなりや
リリーはね
いつも
フランソワーズというカフェの
いちばん
おむかいのおうちの小鳥がよくみえる
あのふたりがけの席にすわるの
奥の椅子にこしかけて
まるで
だれかを待ってるみたいに
この町には
リリーと待ち合わせしたい男はいっぱいいるけど
リリーはそんなことしないの
だから
リリーはだれかを待っているみたいだけど
結局いつもだれも来ないわ
ティーポットみたいな白い肌に
バラのようなほっぺたをして
いつもベビーピンクのくちびるで
こんにちはって言ってくれる
だから
みんなリリーが大好き
でも
だれも リリーとお茶をしたことはないの
リリーは今日も
だれかを待ちつづけているから
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