神谷町/Akari Chika
 
かしげな顔を浮かべながら
佇まいを 直すのは

あなたがいつもそこに立っていてくれるから
あなたの微笑みに
気付かされたから

地下鉄のドア
語ることない
まぼろしばかりが続く



何故こんなにも
湿り気を帯びた
袖口から
握りしめた手の感触が
わたしを困らせてしまうのは

こころの緩め方を
あなたにだけ許してしまったから

東京のまつ毛は上向きに
月への道を伸ばしている

おやすみなさい。
安らかに
誰の優しさ汚すこともなく
眠りに就くあなたを見守ろう

地下鉄の隅に
瞳を映して

同じ夢を 分け合おう





戻る   Point(4)