神谷町/Akari Chika
かしげな顔を浮かべながら
佇まいを 直すのは
あなたがいつもそこに立っていてくれるから
あなたの微笑みに
気付かされたから
地下鉄のドア
語ることない
まぼろしばかりが続く
夏
何故こんなにも
湿り気を帯びた
袖口から
握りしめた手の感触が
わたしを困らせてしまうのは
こころの緩め方を
あなたにだけ許してしまったから
東京のまつ毛は上向きに
月への道を伸ばしている
おやすみなさい。
安らかに
誰の優しさ汚すこともなく
眠りに就くあなたを見守ろう
地下鉄の隅に
瞳を映して
同じ夢を 分け合おう
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