神谷町/Akari Chika
 
道に沿って歩いていくときに
目を閉じた
東京タワーの寝言が聴こえた

おやすみなさい。
安らかに
誰の優しさ汚すこともなく
眠りに就くあなたを見守ろう

昨日見た飛行船の夢が
今日、
あなたの窓に停泊したよ。
空から不思議な色が流れても
あなたはずっと変わらずに
目を閉じていて

何故こんなにも
満員電車に揺られながら
暗い窓に映る人々の顔が
沈みこもうとしていても

となり合わせる人並みに
涙の影をさらわれて
喉がつかえてしまうのを

季節のやわらかさを
物語るように
移ろう昼夜を
抱きとめるように

膝元濡らす悲しみの波に
なつかし
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