神谷町/Akari Chika
道に沿って歩いていくときに
目を閉じた
東京タワーの寝言が聴こえた
おやすみなさい。
安らかに
誰の優しさ汚すこともなく
眠りに就くあなたを見守ろう
昨日見た飛行船の夢が
今日、
あなたの窓に停泊したよ。
空から不思議な色が流れても
あなたはずっと変わらずに
目を閉じていて
何故こんなにも
満員電車に揺られながら
暗い窓に映る人々の顔が
沈みこもうとしていても
となり合わせる人並みに
涙の影をさらわれて
喉がつかえてしまうのを
季節のやわらかさを
物語るように
移ろう昼夜を
抱きとめるように
膝元濡らす悲しみの波に
なつかし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)