紫陽花病/
本木はじめ
紫陽花の色が変わってゆく様を観察してるきみに言われて
カラコンをしている違うきみの目に映る無数の紫陽花の色
思い出す豪雨の海辺で見た脚と深い紫いろの紫陽花
六月の内臓さがすと言うきみが土砂降りのなか見つめてる闇
濡れた髪乾かさぬままカーテンの隙間から見る仔猫とミルク
ゆうめいな画家が描いたという貝がまもなく海に現れる夢
六月の蛇口をひねるきみの手を見ているぼくは血だまりの中
紫陽花の群れに埋もれて錆びてゆくぼくらの一度きりの六月
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