溜め息/takano
熱い河がある
古くは 岩しょうと呼ばれ
ハワイ島やアイスランド
では 血飛沫となって
存在証明する
深海の暗渠を支える
地底の 生の根源
数千年の僅かな時間の螺旋を下降し
安寧と退廃にあらがい
そのたびに否定を重ねた哲学者たちの吐息
無限際なる想念の気泡
沈黙を好む 動物的脈動が
動脈硬化へ進行していく
今 言葉は地底の熱風に
干からびていないか
滑らかで自由自在の
文字列の恣意なる彷徨
大日鏡に反射したとたん
透明に溶けだし水滴となり
垂直落下を連なって(つららが溶けだし)
跡形もなく(その分密度を分散させ)
蒸発していく
人間的溜め息
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